問1)重力加速度について説明した文の(カッコ)内に当てはまる語句を下記より選びなさい。
重力加速度G「ジー」は非SI単位です。1G=( )m/秒二乗は数値定義で、基本物理定数ではありません。
航空機・ロケットなどが受ける力を重力の加速度を単位として計る( )です。
実際の重力加速度は地上のあらゆる点で違っております。厳密に言えば、赤道と両極では地球が( )して
いますから、赤道付近では( )により重力は小さくなり、逆に極側の重力は( )なります。
その他、高度や、地中にある鉱物脈などにも影響を受けるので一定ではありません。
1901年「北緯45°の( )の重力の加速度」として1G=( )m/秒二乗
と取り決め、
地上のどの場所でもこれを使う事になっています。
求心力 遠心力 角速度 角加速度 大きく 小さく 熱く 長く 重さ
離心率 公転 自転
基本単位 規約単位 標準単位 0.980665
9.80665 980.665 山頂 海底面 海面上 湖面
教科書にSI単位の項目は無いので資料を渡している。一昨年は初めてなので自費で教科書を購入してプレゼント
したが、それによる効果は不明だった。
去年は単位の本をコピーして資料としたが、量が膨大で更に分かり難かったので試験結果がヨロシクなかった。
そこで今年は私が作ってるHP資料を基に分かり易い形で講義したつもりである。
語句の選択であるから最も楽な問題であるはずだが、資料を見ないでかどうか知らないが規約単位を
基本単位とする生徒が複数見られた。
また「遠心力」を「求心力」とする者も複数いたので若干落胆はしたが、全体的にはパーフェクト回答であった。
問2)JIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)とは、我が国の工業標準化の促進を目的とする工業標準化法
(昭和24年)に基づき制定される国家規格ですが、もしもJISが存在しない場合に機械工場及び工業全般で
生ずると思われる不都合を列記せよ。(回答数は問わない)
標準化の無い世界を連想して欲しかったのだが、漠然としたこう言った問題にしっかり反応できる学生は
約1/4程度であるらしい。
文章用のスペースを空けているのに、一言二言を望んでるとは普通思わないのではないか・・と考えるが
結構短絡的に終わる回答が大半であったし、複数の回答は半数程度となった。
工場間で混乱するのは当然であるのだが、どうして混乱するか具体的に想像して書いて欲しいと
思った問題である。
2年生だと、まだイメージは沸かないのかなあ?
問3)下図のように高さ10mmの面「A」から18mmの面「g」に0.05mmの精度での平行度公差を指示したい。
適切な幾何公差を適切な位置に記入せよ。(フリーハンドで良い) 注意:「A」面の長さと「g」面の長さは任意とする。
また、平行度公差を具体的に説明しなさい。(図に任意の点名(b、cなど)を記入して良い)
幾何公差も教科書には無いので資料が元になるのであるが実際図面を書く時に使用する機会も
稀である為、若干苦手意識が感じられ、更に平行度公差について具体的に述べ正答と思われ
たのは1/4以下であった。
試験結果が良いのは点数配分ミスの影響もあるが、去年と違い書き込む努力は認められた事である。
折角理解しているのに説明が苦手と言うのが見て取れる学生も数人いた。
良いかどうか知らないが、私は幾何公差について「規制するのではなく許容するのである」と教えている。
指定範囲内であれば自由度を与える・・・と言う考え方である。
そうでないとデータムを使う機会がなかなか見つからないのである。
「面Aに対して面gは0.05mmの間で傾斜及び表面制度(粗さやうねり)を含めて並行を保てば宜しい。」
と言う回答を期待したのである。
面gを何発で仕上げるのかは条件により必然的に決まるのであり、かと言って磨をかけても別に
構わない訳で、3発だとか1.6sだとか規制をかける指示では無いと理解している。
幾何公差を必要とする場合、仕上げなどでは指示し切れない設計の方向性を表す為のものであろう。
離れた面同士の平行や垂直と言った「欲しい性能」は「どこまで欲しいのか」と言う部分で指示
するしかないと考えている。現場の人間としては。
問4)下図のようにM16のネジ式簡易ジャッキでW=200kgfの荷物を押し上げる為のナットを回すトルクTを求め、
更に、L=25cmのスパナで回すのに必要な力Fを求めなさい。ナットとベースの摩擦係数はμ=0.15とする。
T= (kgf・cm) F= ((kgf)
教科書の例題を数値を置き換えて出した。去年と同じ問題であるがM16についての必要数値
はわざと掲げず、自分達で拾わせた。
本テストの一番ねちっこい問題となる。四捨五入によって若干の違いも見られたが、殆どの
学生が正答を書いた。
中には角度何度何十分を何点何度に換算する電卓の使い方が分からす計算途中で諦めた
学生もいた。単に60で割って100を掛けるだけで換算できるのに、そこまで思い至らなかった
ようで、他で点数を稼いだものの、計算力に若干不安を覚えた者もいた。
電卓の使い方が分らない程度で諦められては淋しい。
問5)次の文中(カッコ)に適切な語句を入れよ。
一般に深溝玉軸受けはラジアル荷重と( )荷重を同時に受ける事が出来る。
よって最もポピュラーな軸受けとして知られるが、内部の球は点接触で回転するため、
より大きな荷重を受ける場合には線接触の( )軸受けが用いられる。
しかし、これはラジアル荷重には対応するが( )荷重には対応しない。
その場合には( )軸受けを用いるのが良い。
コンベアのヘッドプーリなどのように軸芯の変動が見込まれる場合には組立の容易さ
と合わせて( )ユニットが良く使われる。
温度などの変動により軸の伸び等が懸念される場合、更に荷重が大きい場合には円筒ころ軸受け
を使用した( )を使うなど用途によって様々な選択をする事になる。
近年機械の小型化、高速化によりメタル軸受けを針のようなローラーを使う( )
に変更するものが増えている。しかしこの軸受けは( )荷重に対応しないので
カラーを用いるなど、わりと使用方法が難しいのも事実である。
メタル軸受けは低価格であり設計も小型化できる利点を持っている。
低速の場合、転がり軸受けの転がり抵抗に対しグリース給油などの不完全給油の場合
( 摩擦または 摩擦)と呼ばれ摩擦係数は0.1?0.02程度となる。
しかし、速度が増加すると油圧が次第に高まり軸は油膜の上に浮かび上がるようになる。
この状態が( )で、軸と軸受けは直接接触せず油膜を介して接するため、
摩擦は油膜の示す流体摩擦となり0.007?0.01程度となる。
メタルから下は教科書から出題。ベアリングに関してはオリジナルの問題である。
この設問は去年と同じものである。
去年、あまりにも点数を取れなかった者が多かったので今年も出してみたのである。
珍回答も中には含まれたが、今年は殆どの生徒が正答を並べた。
去年の問題を予習した者も中にはいただろうが、それを匂わせる回答は殆ど
無かったのは逆に喜ばしい。その上で満点が多かった。
この設問には数個の選択肢が存在する部分もある。スラストと書いて次には
アキシャルと書くなど微笑ましい解答もあったが・・若干心配でもある。
問6)下図に示すように歯車Z1、Z2、Z3,、Z5をそれぞれの歯数で組み合わせた場合、プロペラ軸の回転数は幾らか答えよ。
また、出力軸を移動してZ4とZ6を噛み合わせた場合はそれぞれ幾らか。モーターの回転数は1500 rpmとする。
Z3とZ5の噛み合わせの場合 プロペラ軸の回転数は <rpm>
Z4とZ6の噛み合わせの場合 プロペラ軸の回転数は <rpm>
暗算でも答える事が可能な問題であり、これも去年の数値換え問題である。去年点数をあげるつもりで
出したが、案外勘違いする学生が多く、採点に四苦八苦したのである。
理系の学生として中間軸のどのギヤも300rpmで回るのは理解するだろうと常識で考えていたのに
Z2とZ3で加速させると言う笑えない回答すらあったのである。全部加速させた者もいた。
今年は皆無である。クラスの全体レベルがきちんとしている証拠となった。
であれば、先端トルクを計算させるなど、このクラスには一歩上の設問を用意すべきだったと
今は反省しているのである。
問7)次の歯車について書かれた文章の(カッコ)内に適切な語句を記入しなさい
インボリュート歯車の歯型は( )曲線であるので、相隣る歯形は( )
であり、その間隔が( )ピッチである。
歯形にはインボリュート、( )、トロコロイドのような曲線があるが、特殊な場合
を除いて歯形曲線には( )曲線しか使用されない。
小歯車の歯形と大歯車の歯形は接触点で互いに接し回転を伝えているが、接触点は歯車の回転と
共に移動する。
この軌跡はインボリュート歯車の場合( )となり、これを( )と言う。
先日の授業で恥ずかしい手作りのギヤ模型を使って講義したばかりなので、案外パーフェクトを
期待して教科書から抜粋した語句問題である。
しかし、何人か(寝てたのか?)まるっきりあっちゃ向いた答えがあった。
インボリュート歯車の作用線は直線になると、模型を使ってあれほど力説したのに・・・:涙。
結局試験の評価でBだった学生は、この設問が不正解な傾向が見られた。
出席状況や授業態度など全般を考慮してAとなったが、若干不満であった:恕。
問8)「札幌から旭川まで液体Cを移動しなさい」と言う依頼があった。その依頼を受ける為に現実的に必要と思われる
事柄を列記しなさい。(回答数は問わない)
私の出す問題の一番の特徴である連想問題である。最初の教室での挨拶で、最初に力説する事である。
であるから、きちんと連想をして欲しいのである。
まずは「液体Cって何?」から連想するのが普通だろうと考えるのだが、妙に受け入れている学生が
多く見られ、液の性質も分からずに扱えるのか?と言う現場からの大いなる疑問を分かってもらうのは
学生には難しい事なのだろうか?
それでも半数以上の学生がイメージしてくれたので、メカ屋としては嬉しい事ではあった。
中には5W2Hで対応した常識学生もいたが、もっとエンジニア的な回答であって欲しかった。
(総括) 今年の生産技術科2年生の平均レベルが高い事は予想していた。実習もつきあったお蔭で一層
予想はしていたが、かと言って「落とす為」に試験をするつもりは毛頭無いので、去年のレベル
のままとして出題した。
案の定100点が続出してしまった(魔法の採点方法)ので、反省はしている。
来年は今年のレベルに合った試験問題レベルまで持ち上げて私の講義の試験レベルにしようと
考えている。少なくとも100点満点続出にはならない。(魔法の採点方法は廃止する)
1年目はレポートのみで、なかなかレベルを計るのは難しかった。
去年は今年満点続出のレベルで2人ほど頭を抱える学生がいた。
来年はどんな学生達かは分らないが、私の講義の試験レベルを今年に合わせれば
多分、一番確かな評価になるのではないかと考える。
と言っても急に難しくなるのではない。魔法を使わないだけである。
少なくとも今年は魔法を使う必要は無かった・・・と反省しているのである。
ただ、かと言って今年の学生の評価が下がると言う事ではない。今年は間違いなく全員Aであった。