SI単位 2 |
学問として考えてもSI単位の元になったMKS単位系や工学計算
に使われて来たCGS単位系があり、更に工学単位系(重量単位)
として区分した時、混乱を招く事になります。
( 初期のメートル法はCGS単位系で出発しました。cm、g、sの
3つを基本単位としたのです。
1960年国際単位系が採択されたとき、MKSA単位系を土台
とし、3つを加えて現在の7元系になりました。
m、kg、s、A、の4元に K、mol、cd の3元を追加。
質量で接頭語の「キロ」がつくのは基本単位としては矛盾なの
ですが、理由は単純ではないので活合いします。
昔から様々な分野毎の特殊な単位系が用いられ、SI単位に
よって、かなり共通化されましたが、各分野の単位系は
消す事が出来ないのです。
それぞれの理論がそれぞれの単位系を元に発展成長して
来たからです。
SIで全てを補う事はほぼ不可能に近いかも知れません。 )
例えばSI単位には「重量」は存在しません。「質量」のみです。
SI単位では「質量1kg」と表示できても、工学単位には「質量1kg」と
言う表記はありません。
同じ「kg」と言う表記が同じ意味であったり、違ったり・・・周囲の
関係を見定めて判断するなどと言った混乱を招いているのです。
困ったもんです。
お約束:1G状態において、SI単位で表される質量1kgの物体の
重さは、工学単位で表すと1kgf(重量キログラム)となる。
しかしながら、工学単位では邪魔な場合はkgと表記して良い事
になっていますから唖然としてしまいます。
あくまで重量キログラムは1Gにおいてのみ有効ですから、
見かけは同じでも1G状態で同じ数値に見えるだけで、重量と
質量は別のものであるわけです。
もっと混乱しましょうか?
運動方程式 を表すと
SI単位では 質量をm 重力加速度をa 力(重量)をF とすると
F=m・a (運動方程式)
力は質量に重力加速度を掛けたものです。
単位で見ますと kg×m/s2乗=kg・m/s2乗=F(力)
しかし工学単位に「質量」はありませんから、質量を表すとすると
m=F/a
単位で見ますと kgf/(m/s2乗)=kgf・s2乗/m=m(質量)
これを F=m・a に代入しますと
(kgf・s2乗/m)・(m/s2乗) =kgf=F(工学単位の力)
だから?・・・と言う声が聞こえて来そうですね:汗。
顕著に目に見える形で示すと
縦×横×高さ×質量=密度 となりますでしょう?
単位で書くと m×m×m×kg=kg・m3乗 ですが
工学単位の密度は
(重量/重力加速度)/(体積)
(kgf/m/s2乗)/m3乗=kgf・s2乗/m4乗 となります。
そして、SI単位と工学単位は1G状態では同じ数値になりますから
SI単位の密度の数値=工学単位の密度の数値×9.80665
と換算されます。
もっと混乱しましょうか?
工学単位には比重量がありますが、この単位は「kgf・m3乗」で
表記されます。
そいで、kgfはkgで表記できますから 「kg・m3乗」と表しますと
SI単位の密度と同じになります。
但し、SI単位に比重量は存在しません。
自分が何の計算をしているのかしっかりしないと、何がなんだか
分らなくなってしまうかも知れません。
でも、これってほんの一部の話でしかないので・・・・・頭痛。
講師を引き受けなきゃ、こんな現状をしらぬままいたと思いますよ。
お飯(まんま)食べてて、お目にかかった事ありませんでしたしね。
だから一層ニュートンなんかに馴染めずに来たのですけど、SI単位
が標準となる以上、避けて通る事は出来ないでしょうね。
工学単位で学んで、世の中に出たらSI単位に浸かる事になる。
現在の学生は過渡期で大変かも知れません。
ただ、CGS単位系からMKS単位系に徐々に移行していますから
少しだけ換算の混乱が減ってはいると思います。
いい加減cm(センチメートル)とg(グラム)表記は止めて欲しい
ものです。
☆重力加速度
気軽に1Gと書いていましたが、このG(ジー)は非SI単位です。
SI単位にあるのは「加速度 m/s2乗」のみです。
1G=9.80665m/s2乗 は数値定義で規約単位と言う立場です。
基本物理定数には入っていません。
実際の重力加速度は地上のあらゆる点で違っており、厳密に
言えば、赤道と両極では地球が自転していますから極側の重力が
大きくなりますし、高さにも地中にある鉱物脈などにも影響を受けます。
「北緯45°の海面上の重力の加速度」として1G=9.80665m/s2乗
と取り決め(1901年)、地上のどの場所でもこれを使う事になっています。
因みにCGS単位系ではg=9.80665ms-2乗 =980.665Gal(ガル)
と定義しています。
Gal(ガル)はCGS単位系のみで使用される単位です。
よってSI単位では使用禁止ですが計量法では使用可能です。
実生活では普通に使われていると言う事です。
☆定数(ていすう)
定数を「じょうすう」と呼んではいけません。常数、恒数、定数(じょうすう)
は現在使われておりません。
定数は「ていすう」と呼び統一化されています。
「じょうすう」と呼んでしまうのはいわゆる私も含めて「古い人」です:笑。
だって、そんな風に習いましたもんね・・・。時代が違うんですらい・・・。
☆接頭語
CPUの速さやハードディスクの容量でメガ・ギガ・テラなど一般に使う
ようになりました。天気予報ではhPa(ヘクト・パスカル)、環境問題では
pg(ピコグラム)など、かなり馴染んできました。
この接頭語は必ずつけると言うものではなく、明解にする為に用いて
良い、と言うものです。
接頭語で表記する事によって難解になるのでは困ります。
ペタやフェムトもそろそろ耳にするようになるのでしょうか?
倍数 |
接頭語 |
記号 |
10の24乗 | ヨタ | Y |
10の21乗 | ゼタ | Z |
10の18乗 | エクサ | E |
10の15乗 | ペタ | P |
10の12乗 | テラ | T |
10の9乗 | ギガ | G |
10の6乗 | メガ | M |
10の3乗 | キロ | k |
10の2乗 | ヘクト | h |
10の1乗 | デカ | da |
10の-1乗 | デシ | d |
10の-2乗 | センチ | c |
10の-3乗 | ミリ | m |
10の-6乗 | マイクロ | μ |
10の-9乗 | ナノ | n |
10の-12乗 | ピコ | p |
10の-15乗 | フェムト | f |
10の-18乗 | アト | a |
10の-21乗 | ゼプト | z |
10の-24乗 | ヨクト | y |