軸については、最近単純なそして手ごろな大きさであればカタログでも
  入手可能になった。
  しかし、一般に軸(shaft)は用途に合わせた加工品である。
  よって、設計上では駆動や従動を司り、その条件に適合した強度を
  求められる。
  周辺装置、例えばチェーンが切れるとか、歯車が欠けるなどは割りと
  トラブルとして出易いが、一般に軸の破壊は駆動全体の破壊に等しく
  決してあってはならないトラブルである。

    軸に掛かる力としては、ねじり、曲げ、引っ張り、圧縮、せん断などである。

  曲げ、せん断などは梁そのものと同じ扱いとなる。
  ここでの軸は回転軸であるから、ねじりについて下図に述べる。
                             
    fig1

   軸に長さ L (cm)の腕をつけ、先端に力 F (kgf)を加えてねじると
   ねじり力 T は

    T=FL (kgf・cm)

   であらわされる。この  を ねじりモーメント 又は トルク と言う。
 
      今、fig2 のような軸に対するねじれを考える。

    fig2

   壁から突き出た直径 d (cm) で長さ L (cm) の丸棒にトルク T (kgf・cm)
   の力が働いたとする。   

    fig3

   その場合ねじりによって丸棒断面には fig3 に示すように ねじり応力 τ
   (kgf/cm2) が半径に比例して生ずる。
   τ は丸棒の表面で最大となり、その大きさは

      τ=16/πd3 ・ T (kgf/cm2

   又は

      T=πd3/16 ・ τ (kgf・cm)
 

   すなわち、ねじりモーメント T が同一なら、ねじり応力 τ は直径 d の
   3乗に逆比例するから、

   直径が10%細くなると応力は30%増しになる。

   丸棒の中心の応力は0(ゼロ)であるから、中心部付近は力を受け持たない。
   よって、座屈を生じるほど肉薄でなければ、中空軸が有効である。

   中空軸の外形を D (cm) 内径を d (cm) とすると

    τ=16D/π(D4-d4)・T (kgf/cm2

   で与えられる。

   fig2 において θ はねじれ角で

     G=横弾性係数 (kgf/cm2) とすると

    θ=32L/πd4G・T (rad)
   
   で与えられる。

   これより、ねじれ角 θ は長さ L 及びねじりモーメント T に比例し、
   横弾性係数 G に逆比例する。
   特に、直径 d の4乗に逆比例するから、直径のわずかな変化でも
   ねじれ角は大きく変化する。

   10%の直径の減少は、40%のねじれ角の増大を意味する。

   ☆丸棒表面でねじり応力 τ が最も大きくなるため、軸表面に傷を
     つけた場合、破壊の大きな要因になる事もある。
     知り合いの事務所に電話が入った。モーター軸が「落下」したと言う。
     有り得ない事なので後日詳細を聞いた。
     モーター軸に取り付けたスプロケットをとがり先のセットスクリューで
     止めてあったと言う。
     そのセットスクリューが緩み、軸の周りをVノッチの如く削り取り
     そこから見事に破談していたという。
     まるでシャーピンのごときである。
     たまたまチェーンテンションがかなり過酷にかかっていた事が
     災いしたらしいが、以後セットスクリューにとがり先を用いる事は
     同業の間でご法度になったものである。
     構造の特殊性もあるのだが、リスクは避けたいのが人情である。
     
主な材料の横弾性係数
材質 鋳鉄 黄銅 アルミニウム プラスチック
G×103 (kgf/cm2 830 350 390 260 80



 
休憩

 



  
 
 
 

 

 
      
        前に 戻るはず     軸の2へ続く・・多分・・      きっと 軸受け