2005.09.16
機械要素設計
 
 
SI単位
基準 軸受け
公差 歯車
ねじ 歯車の強度
 

☆ご挨拶に代えて 
    
   ある日ひょんな事から案外気軽に引き受けた臨時講師だった。
   若い機械設計屋を見かけなくなった昨今、学生に身に染みた
   機械設計を説くのは面白い事だと思ったのだった。
   しかしながら蓋を開けて見れば、これがなかなか難しい。
   例えば弟子ならマン・ツウ・マンで思う存分語り、頭をこずき
   ながらでも叩き込む事は可能であるが、20名程の学生に
   週1回4時間で1テーマを叩き込む・・・不可能に近い。
       昨年の講義を終えて、つくづくその難しさを痛感したものである。

   このページは実のところ今年の学生(2005年度)の為に
   開放する予定であったが、HP更新さえままならない程
   パソコントラブルを背負ってしまい、時期を完全に逃して
   しまった。
 
   来年6月に3年目の講義が始まる前に、学生に話すべき
   幾つかの事柄を掲載して、教室では省いて進めるように
   準備したいと思うのである。

☆機械要素設計講義テーマについて

   機械要素とは何ぞや?と言う疑問に正確に答える事が
   私に出来るかどうかは怪しいものである。
   しかし、機械設計を考える上で「機械設計の基礎」として
   機械要素があると考えている。
   要素を考える前には「力学」の大前提があり、力学を
   習得した上で学ばねばならない。
   
   しかしながら、力学の学者ではない。私は学生に
   「分らない」などと言えない立場ではあるが、所詮
   個人の機械設計屋であるから急に力学に精通しろ
   と言われても、甚だ無茶である。
   まして、学問としての力学でお飯(まんま)を食べて
   いるのではない。
   よって、実のところ教科書と参考書に首っ丈なのである。
   大学の機械科を卒業して4半世紀、今更に学生の頃を
   思い返して数式に悪戦苦闘しているのである。
   講義までに納得しておく。

   その上で講義をするのであるが、納得したはずなのに
   不明点や変な部分が出て来た場合悪態をつきながら
   宿題にして持ち帰り、次の講義で説明する事がままある。
   自分で選んだ教科書ではあるが、所詮教科書である。
   不足部分を資料で補う為に、毎回結構な資料を配布
   しているのであるが、殆どは捨てられる運命にあると
   思われる。

       JISのハンドブック(2004年版)を見ると、まずは製図
   関連から始まる。その中に溶接やデータムといった
   記号及び表面処理や公差などがある。
   次にねじ・ピン・軸・軸受け・歯車・チェーン・ベルト・
   ばね、などが上げられそれぞれに付帯する例えば
   軸にはキーなどが設定されている。
   限られた時間の中で、これら全てを消化する事は
   不可能であるので、下のごとくテーマを頂いている。

   機械要素設計のテーマとして

   第1回目 SI単位
         教科書には全く載っていない。
   第2回目 基準
         機械設計での基準の考え方、公差、表面精度、
         データム
         教科書には詳しくないので資料を使用         
   第3回目 公差
         公差、表面精度と主にデータム
         教科書には詳しくないので資料を使用
   第4回目 ねじ
         教科書を使用。ネジの起源から理論まで。
   第5回目 軸
         教科書を使用。力学から強度計算まで
   第6回目 軸受け
         教科書を使用。すべり軸受け、転がり軸受け。
         本年は角田和雄博士の公開資料から
         日本のベアリング産業の歴史を学んだ。
   第7回目 歯車の基礎
         教科書を使用。歯車の種類から理論
   第8回目 歯車計算
         教科書を使用。歯面強度等
         半分を「今年のまとめ」
   第9回目 試験

   としている。
   2004年は第5回目に「ボルトとナットの強度計算」を
   入れていたが、歯車に時間が取れなくなるので
   削除して順次繰り上げた。
   
   教科書として使用しているのは
    機械要素設計法 石原康正著 養賢堂 \4200
   で、2年連続して使っている。
   内容的には前編を「力学」から入っていて、非常に使い易い。
   将来的にも(現場で)使用できると考えた。
   おそらくは、3年目もこの教科書であろうと思われる。

☆機械設計屋として
    
   生産技術科の2年生に講義しているが、講義の先は
   「機械設計をしたい」を前提に進める事にしている。
   つまり、学生と言うのではなく新米設計屋として
   必要な事柄を講義していると言う事である。
   よって、私の講義は度々脱線をする。
   どちらかと言えば脱線話の方が学生は目を輝かす
   のであるが、あくまで脱線なので長くは出来ない。
   「現場の話を講義して下さい」と言う事で引き受けた
   臨時講師であるので、一辺倒に講義するつもりは
   毛頭無い。
   かと言って講義は機械要素がテーマであるから
   そこのバランスで時々つまずいてしまう。

   テーマ中心に講義を続けると、不覚に死体と化す学生
   が多数増加する。
   私は趣味でラリーを15年ほど続けているので、脱線
   のごとき例え話を所々交える事が多い。
   「車」に関しては、大抵の男子は興味を持っていると
   見え、死体がゾンビと化してムックリ起き上がる。
   来年の私の課題は、このゾンビを学生に戻す事である
   と考えている。
   
   6月7月、そして夏休みを挟んで9月は暑く小難しい
   話しには「あくび」も出るし、死体にもなる。
   脱線話でも最早通用する状態にない。
   来年は「小道具」を数々持ち込む事を考えている。
   更に「小テスト」を出題するつもりである。
   小テストを自己採点させて復習する時間を作りたい。
   ・・・・なーんだ・・・結局、高校と一緒かよーー
   と言う声を出させないテストを考えたい。
   今年、テストを作成して非常に面白いと思った。
   落とし穴を用意すると、簡単にバタバタはまるのである。
   はまってくれたらシメタもの。復習すれば良い。
   
   とか、設計屋のオヤジが色々考えるようになった。
   去年の学生から相談を受けたり、今年の学生からも
   機械設計について相談を受けたり、なかなか楽しい。
   50才の手習いではあるが、若者の成長を見るのも
   これまた新鮮で良い。  

      戻れば!              きっと SI単位なはず     
         
   
      基準 かな?